都立高校(自校作成校)に合格するため、中学1・2年生のうちからできる基礎的な対策を3つお話します。
「基礎的な」というのは、定期テストの点の取り方のようなテクニカルな話ではなく、もっと根本的な、勉強を進めるうえで土台となる考え方の話です。
土台ゆえに即効性はありませんが、これがあるとないとで受験後半の伸びがかなり変わってきます。
あなたが中学1・2年生(やその保護者)で、今のうちから受験に向けて何かしておきたい!と思っている場合は、こちらのページで紹介していることを日頃から意識してみてください。
1:成績をオール5に近づけておく
都立入試を意識したら、まずやるべきことです。
都立入試は、
- 入試の点数
- 調査書の点数
この2つの点数の合計で、合否が決まります。
1つ目の入試の点数は説明不要ですね。入試本番の点数です。
2つ目の「調査書の点数」というのは、あなたの学校の成績を点数化したものです。
オール5が満点で、そこから成績が下るごとに調査書点も下がっていきます。
既に知っているかもしれませんが、音楽や体育などの入試で問われない科目の成績は、主要5教科の2倍で計算されます。
なので、入試で出ないからといって、美術や家庭科や技術など実技教科を捨てるのはNGです。
調査書点について
調査書点として使われるのは、中学3年の2学期の成績です。
そこでなるべく良い成績を残せると、入試本番前に他の受験者(ライバル)に差をつけられます。
自校作成校受験を考えているのであれば、なるべくオール5に近いのが望ましいです。
ですが、成績というのはすぐに上げられません。
今までオール3とかオール4だった生徒が、中学3年生になって突然オール5に近い成績をとれるようにはならないのです(それは本人の頑張り水準の問題で)。
ですから、中学1・2年生のうちに成績を高くしておきたいです。
では、どうやったらオール5に近い成績をとれるのか?
当たり前みたいな話ですが、以下の2点が重要です。
- 定期テストで95点以上とる
- 教師の要望を満たす
各教科95点以上の意味
1つ目は単純です。
定期テストのたびに、全教科95点以上を目指して勉強して下さい。
もちろん、あくまで「目指す」のであって、必ず95点以上取れないといけないわけではありません。
私も過去、95点以上を目指して78点をとったことがあります(汗)
ですが、95点以上、あわよくば満点を目指して自分自身を追い込んでいく、その”姿勢”があなたを合格に近づけてくれます。
教師の理想の生徒を演じる
2つ目は正直、私の嫌いな考え方です。
ですが、受験を有利に運ぶためには仕方ないと諦めてます。
↑こちらのページでも触れていますが、中学校の成績判定は、ざっくり以下の2点で行われています。
- その教科の内容を十分理解できているか?
- その担当教員の理想の生徒になっているか?
1:内容理解
これはごく普通のことです。
小テストや定期テストの結果から授業内容の理解度を判断し、それをもとに成績をつけるというもの。
2:教師の理想の生徒
理解しがたいのはこちらで、この要素が成績判定に想像以上に大きな影響を与えています。
担当教員の理想の生徒というのは例えば
- 授業に積極的に参加しているか(挙手等)
- ノートがきれいにデコられているか
- ワークの解き直しで工夫をしているか
などです。
こうした教科の内容理解とは直接関係のない要素が、成績判定に入り込んでいます。
学校の成績とは…
私個人としては、
- 授業に出席していて
- 提出物等を出しており
- テストで90点を超える
とかであれば、みな成績5でいいんじゃないの?と思っています。
もちろん上記を満たしていても、授業中に内職していたり、授業を妨害していたり、授業遅刻が多かったり、というマイナスがあるなら話は別ですが…
そういう特別なマイナスがない限り、↑のような基準を超えていれば、その教科内容を十分に理解していると判定してよいのではないでしょうか?
少なくとも、東京都の公立学校は絶対評価を採用しているわけですから。
でも、学校側(教師側)は高い成績をつけるのを渋る傾向にあります。
全くもって嘆かわしいことですが、事実です。
もちろん、そうでない成績のつけ方をしている教師もいるでしょうが、そうでない教師が一定数、それも少なくない数いるのも事実です。
ですから、こういうのは本当に嫌いなのですが、、、
高成績を狙う場合、ある程度は教師の望む生徒を「演じる」必要もあると思っています。
【おまけ】
私は過去、美術の教師と絶望的にウマが合わず、中学3年にも関わらず喧嘩をしていました。
そのお陰で美術の成績は3とかでした。これを読んでいるあなたはこういうアホなことをしてはいけません笑
2:「なぜ」と「じゃあ」
2つ目は、あなたの脳みそを「デキる生徒」の脳みそにアップデートする”考え方”についての話です。
それは「なぜ」と「じゃあ」の思考法。
この思考を習慣付けられれば、あなたは勝手に賢くなっていきます。
これは受験勉強以外にも役立つ、超重要ポイントです。
「なぜ」と「じゃあ」の具体
どういうことか説明します。
例えば、以下の問題。
問:( )に入る選択肢を選びなさい。
We played baseball ( )the park.
ア:for イ:in ウ:on エ:at
この問題の答えが「イ:in」だったとします。
あまり勉強のできない生徒は「ふーんそうなんだ」で終わります。
勉強のできる or 今後できるようになる可能性のある生徒は、「なんでイなの?なんでウとかエじゃダメなの?」と考えだします。
他の選択肢じゃダメな理由を知ろうとします。
【余談】
この問題の答えはイとエのどちらもあり得ます。
イ:in が使われる場合は、発言者は公園を広がりのある「空間」として捉えています。
遊具があって、木々があって、テニスコートがあって…という空間の中に自分たちがいるイメージ。
エ:at が使われる場合は、公園を地図上の「点」のようなイメージで捉えています。
地図を頭の中に広げて、公園を指さしながら「ここ」でテニスをしてたんだよ、という具合。
要は、発言者がそのときどんなイメージを持っていたかで in / at が決定されます。
話は戻りますが…
勉強のできる生徒は、たくさん「なぜ」と「じゃあ」と考え、それを解決しようとします。
- なぜinなの?
- なぜforじゃダメなの?
- じゃあonだったらどういう意味になるの?
- atだったら?
- どうしたらinが答えだって分かるようになるの?
このように疑問を増やし、それを調べていきます。
こういう思考をできるようになると、見るもの聞くもの全てが、自分を賢くする教材に早変わりします。
そして、疑問を持つ→調べるを繰り返していくことで、どんどん頭が良くなっていくのです。
別の例
例えば理科の授業で、
夏になると小笠原気団の勢力が強まり、日本列島は高気圧に覆われる。
と習ったとします。
そしたら、
- なぜ夏になると小笠原気団が強くなるの?
- 小笠原気団が強くなると、なんで高気圧に覆われるの?」
- じゃあ秋になると小笠原気団はどうなるの?
という具合に「なぜ」「じゃあ」をたくさん思いついてほしいのです。
そして調べられる範囲で調べていく。
もちろん、
「ふーん、夏は小笠原気団が強くなるのね、暗記暗記♪」
となるのがダメとは言いませんし、まずは丸暗記してしまったほうが、受験/試験勉強には都合が良いケースもあります。
が、暗記ばかりの勉強をしている生徒は、総じてあまり伸びないんです。思考に発展性がない。
勝手に頭が良くなるメカニズム
一方で、「なぜ」「じゃあ」と発想を膨らませていける生徒は、どんどん賢くなっていきます。
自分から興味を持っていきますから、学んだ内容も忘れにくい。
知らないことを知れるから楽しい。いい事づくしなんです。
しかしながら、このメリットだらけの「なぜ」「じゃあ」の思考を、明日からバリバリ使いこなせるかというと、それはちょっと難しいです。
癖づけるまでに時間がかかるからです。
ですから、まだ先の長い中学1・2年生のうちから、「なぜ」「じゃあ」の癖をつけておくことをオススメします。
3:中学2年の学年末テスト以降から、中学1~2年の復習を始める
最後は具体的な話です。
中学2年生の学年末テストが終わったら、中学1~2年の復習をしましょう。
復習すべき教科は2つだけ、「数学」と「英語」です。
数学で復習すること
これまでに習ってきた基本的なことを思い出すことが目的です。
例えば、
- 正負の計算
- 一次関数
- 作図
- 確率
- 一次方程式
- 連立方程式
等々。
どこの高校を受験する場合でも、これら単元の「基本問題」をスラスラ解ける状態になっていると良いです。
志望校によってちょっと変わる
自校作成校や、武蔵野北などの共通問題上位校を志望している場合はマストです。やらない選択肢はありません。
そうじゃない高校、つまり偏差値60未満ほどの学校を志望校にしている場合も、できる限り多くの単元の公式や考え方を思い出しておくと、受験が超絶楽になります。
具体的にやることは
思い出すといっても、結局は問題を解くことでしか復習になりません。
なので例えば、中学1~2年の数学のワークの基礎~基本問題を見て、解き方を思い出す/実際に解くくらいのことをしておくと良いです。
英語で復習すること
最低限、以下の2点を復習しておきましょう。
ここを押さえられていると、中学3年になってからの快適さが段違いです。
- 中学1年で習う英文のルール
- 中学1~2年の間に習う各文法事項の訳し方
1:英文のルール
中学1年でいくつか英文の基本ルールを習います。それをしっかりと整理しておきましょう。
例えば、以下の2文。
それぞれ否定文と疑問文に変えてくださいと言われたときに、迷わず英文を作れるでしょうか?
- You are a student.
- You play baseball.
脳内で構わないので、試しに取り組んでみてください。
やってみましたか?
答えは以下です。
- You are a student.
- You are not a student.
- Are you a student?
- You play baseball.
- You don’t play baseball.
- Do you play baseball?
この問題に一切の迷いなく答えられた人は、Be動詞と一般動詞の英文の区別がついています。
逆に答えられなかった人・自信のなかった人は、まだBe動詞と一般動詞の英文の形が整理できていません。よく復習しておくことをオススメします。
今のは、Be動詞と一般動詞についてでしたが、
- 代名詞(SheやTheyなど)を正しく使えるか
- Whatなどを使った疑問文を作れるか
- 複数形を作るときに”s”をつける習慣があるか
- 三単現の”s”がなんだか説明できるか
- ”a”と”the”の違いを説明できるか
等々、これら中学1年で習う基本ルールを整理しておくのが1つ目です。
2:中学1~2年で習う英文法の訳し方
中学1年で習う内容は、英文の基本ルールがほとんどです。
中学2年になると、不定詞や動名詞、比較級、受け身、現在完了形など、色んな文法事項を学びます。
He went to the park to play soccer.
→これは不定詞で「~のため」
My mother has gone to the post office.
→これは現在完了の完了で「~してしまった」
こんな風に迷いなく理解できるようになるのが、2つ目にやってほしいことです。
ここで注意してほしいのは、あくまで「読んで理解できるようになってほしい」という点です。
これまでの英語の授業って、ほとんど「書くこと」で点数がついてきたと思います。
- ( )に入る単語を答えなさい
- 次の日本語を英語に訳しなさい
こういう日本語→英語をたくさん練習させられたと思います。
が、中学2年から中学3年に変わるこの時期にやってほしいのは、英語→日本語に変換できることです。英文を「読んで理解できる」状態。日本語→英語はいりません。
これなら、細かいスペルを覚える必要がないため、比較的短時間でたくさんの単元を復習可能です。上手な講師に教われば、1~2週間のうちに中学1~2年の文法を復習できます。
ですので、1つ目の「英文のルール」に併せて、「中学1~2年の間に習う文法の訳し方」にも取り組んでもらいたいと思います。
+α おまけ
自校作成校や武蔵野北のような上位校を受ける場合は、上記1~2年の復習に加えて、中学3年の先取りを行っておくことをオススメします。
先取りしてほしい教科は「数学」です。中学3年の数学は、全単元を学び終えるのに少し時間がかかります。
難関校を受験する場合は、過去問演習の都合上、なるべく早い段階で中学3年分の単元を学び終えたいのですが、これまでの経験上、数学はどうしても遅れがちです。中学3年の単元を学び終えるのが秋ごろになってしまう傾向があります。
ですので、なるべく早い段階、中学2年から中学3年に変わる時期に先取りをしておけると、時間に余裕ができます。
ですが。まだ習っていない単元を独学で学ぶのは、ものすごく時間と労力がかかります。
ですので、いまご紹介した「先取り」については、わかりやすく先取り単元を教えられる人間(家庭教師や塾など)が側にいることが条件の一つになります。もしいない場合、独学で進めるのはとても非効率なため、先取りはせず、それまでの復習に全力を尽くしましょう。
まとめ
都立入試に向けて、中学1・2年がやっておくべきことを紹介しました。
- 成績を5に近づけておく
- 「なぜ」と「じゃあ」
- 中学2年の学年末テスト以降から、中学1~2年の復習を始める
以上3点です。
絶対に取り組むべきは1番の「成績を5に近づけておく」です。これが最も入試結果に影響を与えます。
2番の「なぜ」と「じゃあ」は、高校入試というよりも、あなたの人生そのものを左右するレベルで大切な考え方です。なので、受験云々を抜きにしても、取り組むべきです。
もちろん当然のことですが、大学入試にも大きく影響します。むしろ大学入試の方が影響が大きいくらいです。
3番の中学1~2年の復習は、英語と数学を中心に、必要なところを押さえるようにしてください。
【追記】
間違っても「自分は自校作成校(難関校)を受験するから、難しいテキストをガンガン解いておこう」とか考えてはいけません。